狩野宏明 福崎翼 2人展-変装する粒子-
こんにちは。スタジオ八百萬の山田です。
狩野宏明さんと福崎翼さんの2人展が最上川美術館・真下慶治記念館(村山市)で開催されています。
狩野宏明 福崎翼 2人展-変装する粒子-
最上川美術館・真下慶治記念館
9月3日(金)〜10月5日(火)
9:00〜17:00、水曜日休館(祝日の場合は翌日)
福崎翼さんは米沢出身の画家で、鉛筆や金箔などを使って主に動物の絵を描かれています。
詳しくは[公式ホームページ]をご覧ください。
そこで、福崎さんと僕の謎のコラボがありまして。
福崎さんから襖に絵を描くということでご相談をいただいて、表具師として襖の張り替えをさせていただきました。
とはいえ、僕はまだまだ見習い中で一人前とは言えないのですが、師匠と協力しながら慎重に作業をさせていただきました。
かえって本職ではないことで、やったことの無いことにもチャレンジし、柔軟に対応できる面もあるんじゃないかと思っています。
今回の襖は「本襖」といって、木の骨組みに和紙を何層にも重ねて張ることで作られる、軽く通気性の良い伝統的な襖です。
最初に「骨縛り」という補強から始まり、貼っては乾かし、乾いては貼り、とクッション性を持たせながら平滑な面を作り、一週間ほどかけて下地を作ります。
この工程をしっかり入念に作ることで上張り紙の劣化を防ぎ、絵を長持ちさせることができます。
上張り紙は福崎さんに選んでいただいた日本画などに使うような紙だと思いますが、襖紙と違って貼るのに色々と工夫が必要でした。
といっても伝統技法で作っているので、50年後、100年後でも次の世代へ引き継ぎ、何度でも上張り紙を剥がし、新しくしつらえ直すことができます。
江戸以前のガラス戸がない時代は、紙の襖や障子が一般的だったわけですが、ガラスよりも紙の方が断熱性が高いとも聞きます。
木と紙の組み合わせによって光と風と温度をコントロールし、そして絵柄によって装飾を楽しむ文化も生まれてきたのだと思います。
千年以上前から同じことを繰り返し繰り返しやってきた表具師の伝統技術に目を向けていただき、今回の作品に関わらせていただけてとても嬉しいです。
福崎さんの襖絵からは、それが描かれた「南原」という地の光と風と温度が感じられるかも知れません。
展覧会は他にもたくさんの作品が展示されていますので、お近くの方は是非ご覧になってください。
狩野宏明 福崎翼 2人展-変装する粒子-
最上川美術館・真下慶治記念館
9月3日(金)〜10月5日(火)
9:00〜17:00、水曜日休館(祝日の場合は翌日)